アダルトチルドレンが回復するための統合作業(まとめページ)

見捨てられ不安

アダルトチルドレン(AC)にとって最も大切な作業が統合作業です。
12ステップに何年も取り組んでいながら、統合作業は手付かずであるなら悔やんでも悔やみ切れないということになります。
この記事は統合作業の仕方を総覧的に解説しています。

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0.統合作業に取り掛かる前に

人が怖い

「人が恐い」という人への恐れに気づくのが先決

問題リストをはじめて読んだ時のありのパパの感想は「いや、怖くないし」というものでした。
しかし、それでは自分がACでないことになってしまうので、仕方なく「あることにしておこう」と考えたのでした。

今から考えると、感情を否認・抑圧・合理化していたので、そもそも自分の感情に気づくこと自体が困難でした。

ACが回復しようとするなら、どうしても自分の中にある「人が怖い」という人への恐れに気づく必要があります。

なぜならACは目で見ることが出来ない「病的な人間関係」という嗜癖を使いますから、性格上の欠点からくる行動パターンと嗜癖の関係をより明確に捉えることが出来なければ回復はおぼつかないからです。

アルコールや薬物などの依存症であれば「とにかく使わない」一点張りでもなんとかなります。
(もちろん永続的な回復をしたいならそれでは全く足りません)

しかしACの場合は性格上の欠点の一つである人への恐れに気づくことなしには嗜癖を止めるのはとても困難です。

アダルトチルドレンが回復するとはどういうことかを知る

依存症には回復の雛形(ひながた)とでもいうべきものがあります。
それは問題行動を一切やめてしまうことです。
アルコール依存症なら酒を一生飲まないことを決心します。
薬物依存症も、ギャンブル依存症も同じです。

擬似アルコール依存症であるACにとっての止めるべき行為とは「恐れから出てくる一切の行動」であり、具体的にはACの13個の問題行動ということになります。

本質的な解決策である霊的目覚めと統合作業の関係

問題の本質(強迫観念と渇望現象に対して自分が無力)が分かったら「解決」も自ずと明らかになります。
それは(無力な自分以外の)自分を超えた大きな力です。

この大きな力によって二つの解決策が用意されています。
それは「霊的目覚め」と「共同体からの支えと助け」です。

霊的目覚めとは回復するのに充分な人格の変化のことです。
「回復するのに十分な」とは嗜癖を使わなくても生きていけるほど人格が変わるということです。

では人格の変化とは何かと言えば、それは今までは「自分は被害者である」と思っていたのが、「そうではない。自分がこうなったのは自分のうちにある性格上の欠点が原因だった」と物の見方が180度変わってしまうことです。

この変化は12ステッププログラムに徹底して取り組むなら誰にでも与えられると約束されたものです(ビッグブック1121頁7行目)。

この二つの解決策を自分のものにした後に統合作業を行います。
霊的に目覚める前に統合作業をやっても徒労に終わります。

統合作業の実践の仕方

チェックシートを用いて、一日の終わりに検討します。
また、感情が動いたり逆に感情がなくなったように感じられる時、日々の棚卸しと共に統合作業を行うのも良いことです。

思考習慣の変化と定着には六ヶ月掛かると言われています。
少なくとも初めの一ヶ月はチェックするだけでなく、気づいたことをノートに書き込むようにします。
「出尽くした感」があれば、次の統合作業に移っても構いませんが、チェックだけは半年間続けて行います。

このやり方ですと、1年半ですべての統合作業をやり終えることができます。
そしてこれを繰り返すことが有益です。

二巡目以降はご自分の好みの期間で回していってよいと思います。
ちなみにありのパパは現在では一つの項目に一週間を掛け、教えられたことをミーティングで分かち合うようにしています。

        

問題行動1

「私たちは人が恐いので、人々から孤立することを嗜癖として使う」

私たちが孤立するのはアダルトチルドレンが原因とは限らず、他のものが原因になっている場合もありますので、この点は注意する必要があります。
「私が孤立するのはACのせい。だから仕方ない」ではいけません。

孤立が他の依存症から来ている場合

アルコールや薬物などの物質依存、競馬・パチンコやゲームなどのギャンブル依存にハマれば、どうしても周囲から孤立するようになります。
この場合、周囲から孤立したのとACは関係がありません。

この記事で取り上げているのは「人が恐いという人への恐れ」が原因で周囲から孤立する嗜癖を使ったということです。
自分がやってきたことを棚に上げて「そうそう、俺も孤立した。何だ、アダルトチルドレンが原因だったのか」などと寝言を言ってはなりません(笑)。

孤立が内向型の性質から来ている場合

内向型の性質の持ち主も周囲から孤立しがちです。
この場合は内向型特有の「孤独を愛する」傾向から来ています。

ですので「自分は孤立しているかも知れないが、果たしてそれを苦痛に感じているか?」と問わなければなりません。

子供時代には孤立することを苦痛に感じますが、大人になると孤独を心地よく感じるようになります。

この人々の場合は孤独を愛することはそのままに、孤立しないためにはどうしたらよいかを考える必要があります。

ちなみにありのパパがこのケースに該当します。

発達障害やパーソナリティー障害から来ている場合

この場合はアダルトチルドレンのケースと一見見分けがつきません。

しかしアダルトチルドレンは「恐れが原因で周りから孤立する」のですが、これらの人々は「孤立した結果として人への恐れをもった」のであり、順番が逆です。

統合作業のやり方

「人を恐れることが動機となって孤立しなかったか?」

普段の生活では否認したり、抑圧したり、合理化したりしていますから、自分の動機というものは案外わからないものです。
しかし「神さま、どうか隠された私の動機を気づかせてください」と祈りながら行うとき、神があなたの動機を見せてくださいます。

下記の記事はACの孤立の問題を孤独と切り分け、孤立だけを解決する方法について解説しています。

孤立を嗜癖として使うアダルトチルドレンが他者と自然に繋がる方法!
職場や学校やサークルで孤立している方はおられませんか? この記事では孤立する原因を明らかにし、どうしたら孤立か…
        

問題行動2

「私たちは自分が何者か分からず、他からの承認を病的に求めることを嗜癖として使う」

私たちアダルトチルドレンは自分が何者か分からないので、他からの承認を異常に求めます。
そしてその過程で自分が何者かますます分からなくなるという悪循環を経験しがちです。

私たちは承認を追い求めたから自分が何者かわからなくなったのではなく、もともと自分が何者か分からなかったので承認を病的に求めたのです。

これは誰かにひどいことをされたから恐れたのではなく、もともと人への恐れがあり、それが誰かの行動に誘発されて恐れが引き出されたのに過ぎないということです。

ここを見誤ると、自分の問題を他人のせいにしてしまうという誤りに陥ってしまいます。
そして回復しないままということになります。

統合作業のやり方

チェックシートを用いて一日の自分の行動を振り返ります。
内容は「病的な承認欲求から出た行動はなかったか?」です。

祈りと黙想を通して「神さま、どうか私の今日一日分の行動の中に病的な承認欲求から出た行動はなかったかどうかを気づかせてください」と祈ります。

たとえ他人の目からは正しい行動と映るものであっても、真実はそうではないことが多くあります。
ときには何年も経ってから、ふと「あの時の私の行動は病的な承認欲求から出ていたものだった」と気づくときもあります。

統合作業を続ける半年間のうち、少なくとも一ヶ月は毎日ノートに自分の思いを書くようにします。
「もうこれで充分。次に行こう」との頷(うなず)きがあるまで続けるのが良いでしょう。

下記の記事は病的な承認欲求の出どころを明らかにし、そこから解放されていくための方法を解説しています。

アダルトチルドレンが病的な承認欲求に振り回されなくなる方法!
気がつくと承認を得るために消耗しているという方はおられませんか? この記事では病的な承認欲求を嗜癖として使って…
        

問題行動3

「私たちは人が怒っていたり個人的な批判・陰口・噂話を聞くと、おびえることを嗜癖として使う」

ありのパパは人の噂話をする人に嫌悪感を感じます。
このことを「自分は正義感が強いから」と天才的な錯覚をしていました。
実はそうではなく、人の噂話をしている人を恐れているのだということに最近になってようやく気づきました。

統合作業のやり方

「今日一日の中で、私は誰かが怒っているのに対して怯(おび)えなかったか?」
「他人がしている噂話や陰口や非難に感情的に反応することはなかったか?」

上記をチェックシートを用いてチェックしていきます。
そして最低でも一ヶ月は感想を書きます。

下記の記事は「おびえる」二つの原因と、回復するための三つの方法を解説しています。

アダルトチルドレンが怯える二つの原因と回復するための三つの方法!
人が怒っていたり、個人的な批判・陰口・うわさ話を聞くとどうしても怯えてしまうという方はおられませんか? それに…
        

問題行動4

「私たちは自分が依存症になったり、依存症者と結婚したりする。またわざと強迫的な問題を抱えた人を見つけ、その人々から見捨てられる痛みを感じることを嗜癖として使う」

このリストをはじめて読んだ時「このリストを書いた人はなんと意地の悪い人なのか」と思ったものです。
しかし今では「その通りだね!」と感じています。

「人が恐い」という性格上の欠点を見ないですむなら、何でもやってのけるのが私たちアダルトチルドレンです。
もちろんこれは無意識にやっていることです。
分かっていたら、こんなことはしません。

自分の中に「人が恐い」という人への恐れがあるのに気づくのは、棚卸表をもう一人の人に見てもらうことによってです。
ありのパパはそれ以外の方法を知りません。

共依存のこと

この問題リストが教えていることは「私たちは共依存的行動によって自分の問題を見ないようにした」ということです。
共依存にはさまざまな現れ方があります。
ありのパパも共依存症なのですが、ありのパパの現れ方は「あなたはこの場面で当然こう動きべきであり、こう発言すべきである」という他者への病的なコントロール欲求です。

そのように動いてくれないと内心不機嫌になります。
そしてその人との関係を切ろうとします。
この嗜癖を使い続けたことによって自分の人生が思い通りに行かなくなったことを認めざるを得なくなりました。

ある人は他者が願っていることを先取りして行います。
そのとき自分の願いは棚上げされています。
このようなことを長期間行っているとしたら共依存症の疑いが濃いでしょう。

他者を自分の思い通りに動かそうとするのと、他者の思うままに自分が動こうとするのは、一見正反対のように見えます。
しかしこれはどちらも共依存症であることに変わりはないのです。

これは健康な心の持ち主はどのような動きをするかを考えてみると明らかです。
心が健康な人はそもそも他者を自分の思い通りに動かそうと思わないものですし、限度を超えて他者のために動こうとはしません。

共依存の人は自分の中にある「人はこうあるべき」という基準に振り回されて、結果として疲れ切ってしまいます。
「こんなことなら、この基準を手放したほうがどれだけ楽な生き方が出来るかわからない」と思うのですが、どうしても手放すことが出来ません。
その原因が分からずに自分でも訝(いぶか)しんでいるのですが、理由は簡単です。

それは共依存症に対して私たちが無力だからです。
要するに私たちは共依存という依存症者なのです。

統合作業のやり方

「私はわざと問題を持った人を見つけ出していないだろうか?」
「これらの行動は『見捨てられ欲求』から出ている行動ではなかった?」と自らに問いかけます。

そして教えられたことをノートに書き込みます。

下記の記事は見捨てられる痛みが見捨てられ不安から来ていることを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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問題行動5

「私たちは自分の人生を犠牲者の視点で生きており、被害者意識を嗜癖として使う」

そもそも「人が怖い」という人への恐れは自分が被害者意識を持っていなければ持つことはありません。

なぜなら人が恐いというのは他者が自分を傷つけることへの恐れですから、そもそも自分を被害者の立場においていなければ持ちようがありません。

翻(ひるがえ)って見れば自分もまた他者を傷つけることが多かったというのが現実ではないでしょうか?
しかし被害者の視点で生きていると自分のことで一杯になりますから(自己憐憫)、他者のことまで気持ちが及びません。
そうすると他者への共感的理解・肯定的配慮の欠如という欠陥のある人間関係しか作れなくなります。

ですから他者との間に人格的な関係を作り上げていこうとするなら、どうしても被害者の視点で生きることを止めなければなりません。
とは言っても他の問題と同様に「犠牲者の視点で生きる」という思考習慣に対して否認・抑圧・合理化していますので、これを変えるのは容易ではありません。

ありのパパには以下のようなことがあります。
それは気がつくと心の中で自分が被害者になったストーリーの物語が進行しているのです。
(これは被害妄想の傾向があるという言い方も出来ます)

これへの対処法は妄想していることに気づいた時点で、心の中でそこから飛び移り「私は自分の人生を犠牲者の視点で生きることを拒否する」と宣言することです。

犠牲者の視点で生きれば楽ちんに生きられます。
しかし犠牲者の視点で生きていくなら人生は必ず行き詰まります。
人生が思い通りにならなくなるのが嫌なら、被害者の視点で生きる生き方を放棄するほかはありません。

統合作業のやり方

「今日一日の出来事の中で、被害者意識が引き出されたことはなかったか?」
「今日一日の行動で、被害者意識を持って見つめている出来事はないか?」

このチェックを半年間行います。
そして少なくとも一ヶ月間はノートに感想を書き込むようにします。

下記の記事は被害者意識がいかに不合理であるかを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

被害者意識の不合理さに気づけばアダルトチルドレンは回復できる!
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問題行動6

「私たちは行き過ぎた責任感と過剰な世話焼きを嗜癖として使う。そうすることで自分の問題を見ないようにする」

問題リストの6はまさしく共依存症者の行動を言い当てています。
私たちは「人が恐い」という自分の短所に直面する勇気がないために、他者の世話に逃げます。

なぜなら他人の世話に明け暮れていれば、自分の性格上の欠点を見ないですむからです。

しかし、このような生き方は遠からず行き詰まりを迎えます。
なぜなら、世話をしている自分も、そして大抵は世話をされている人も、どちらも病的だからです。

心が健康な人は、限度を超えた世話焼きを拒否するものです。
ただ心が病的な人だけが、病的な世話焼きを心地よく感じ、それを必要不可欠と思うのです。

なぜ他人の世話をするかと言えば、それは「世話をするから、私の思ったとおりの人間になってね。私が思ったとおりに動いてね」という病的な他者へのコントロール欲求が背後に潜んでいるからです。

しかし、自分の思ったような人を完璧に演じてくれる人は、この世に一人もいませんから、このような生き方は必ず失望に終わります。
その時でさえ、自分が失望したのは自分の誤った動機にあるのではなく、自分の期待に添えない相手にあると信じて疑わないのですから、これは悲劇を通り越して喜劇になっていると言わなければなりません。

さあ、他人の世話をすることをやめて、自分自身の世話をすることを始めようではありませんか!

統合作業のやり方

「今日一日の行動の中に、他人の世話を焼きすぎたことはなかったか?」
「今日一日の中で、行き過ぎた責任感を発揮してしまったことはなかったか?」

一日の終わりに、または気づいたときすぐに、自分の行動を省(かえり)みます。
「また、やっちゃった!(笑)」と思ったときは、「神さま、私の中にある『自分の世話をしないで他人の世話をする』回路のスイッチを入れないで生きていけるように助けてください」と祈ります。

下記の記事は過剰な世話焼きが強迫観念から来ることを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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アダルトチルドレンの問題リストの6番目には「私たちは行き過ぎた責任感を持ち、過剰な世話焼きをする。そうすること…
        

問題行動7

「私たちは他者の意向を考慮せずに自分の意見を述べようとすると恐れや罪悪感を感じ、黙ってしまうことを嗜癖として使う」

初めは威勢がいいのに、ちょっと論破されたりすると途端にヘナっとなってしまうことはないでしょうか?

心が健康な人は自分が正しいと思っていても自信満々には振る舞わないものですし、たとえ論破されたとしても「それがどうかしましたか?」的な対応をします。

アダルトチルドレンが自律的に自分の意見を言おうとすると、罪悪感を感じるのはひと言で言えば「自分はそのままでいい」と思っていないからです。
存在と行為が一体になっているのです。(分離しすぎていても別の不具合が生じます)

そのようなわけで、自分の意見が間違っているかも知れないと考えると、それが存在の価値にまで及びます。
それで罪悪感を感じるというわけです。

ありのままの自分でいいと思っていれば、自分の意見が間違っていようが、反論されようが、そんなことは自分の存在価値には影響しないことを知っていますから、罪悪感を感じないのです。

私たちアダルトチルドレンは「自分はこれでいい」というありのままの存在を受け入れられずに育ちました。
それで自分の存在に確信がないのを親のせいにしているACも多いのですが、本当の原因は別のところにあります。

それは自分が自分自身のありのままを受け入れていないということです。

問題行動7に書かれていることから回復しようとするなら、どうしても自分が自分自身のありのままを受け入れることが必要です。
これを自己受容と言います。

肉親には自分の心から出ていってもらい、自分が自分自身の愛ある親になるのです。(親替え)

統合作業のやり方

「私が私自身の親になり、自分を愛し、ありのままを受け入れ、常に自分自身を励まします」と毎日の祈りと黙想の時間に祈ります。

そして一日の終わりには「今日一日の中で、自分の意見を言わなければならないときに黙ってしまったことはなかった」を点検します。
黙ってしまわなかったときは自分自身に向かって「恐れがあるにもかかわらず、あなたはよくやった。私はあなたを誇りに思う」と言ってあげます。

これを半年間、意識的に行います。

下記の記事はACが自分の意見を言おうとすると黙ってしまう原因を明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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問題行動8

「私たちは刺激を嗜癖することに使う」

多くのアダルトチルドレンは依存症には罹患していません。
しかし片っ端から刺激を嗜癖することに使います。

何を隠そうありのパパも刺激を嗜癖として使っている人です。
テレビを見始めると何時間でも見てしまうために何十年か前にテレビを捨ててしまいました。

効果が現れるのに時間がかかるものに嗜癖する人はいません。
短時間でインスタントに効果が現れるものに人は嗜癖します。

たとえば数分間で結果が分かる競馬・競輪に嗜癖する人は多くおりますが、練習まで含めると膨大な時間がかかるマラソンに嗜癖する人はおりません。
これは効果が現れるのに時間がかかりすぎるために、嗜癖対象から外れるためです。

この「刺激に嗜癖する」ことからの回復はどのようなものでしょうか?

もちろんお一人お一人、回復の形は異なると思います。
ただ、刺激に嗜癖することから自由になるのは生きている間はないと個人的には考えています。
アダルトチルドレンが出来ることは、刺激に嗜癖しないようにすることではなく、刺激に近づけない努力であると思っています。

統合作業のやり方

「これは嗜癖しているな」と思うものがあれば、嗜癖している刺激を手放すことが出来るように、神に祈ります。

また「神さま、自分でも気づかないうちに刺激に嗜癖してしまっていることはないでしょうか?もしあれば気づかせてください」と祈ります。

下記の記事はACが刺激に嗜癖しやすい理由を明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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問題行動9

「私たちは人を哀れむことを愛と取り違え、自分が救ってあげれそうな人を故意に選ぶことを嗜癖として使う」

「自分が救ってあげれそうな人を選ぶ」というのは、実はよくあることです。
医療関係者や介護に従事する人々の中には、このような人々が多くおられるようです。(教会関係者の中にも多くおられるように感じます)

自分の動機に気づかないまま仕事を続けるとやがて燃え尽きてしまいます。
しかしそうなる前に「あぁ、そうか。自分は救世主症候群に掛かっていた」と気づき、妄想の産物である十字架から降り、人々と対等の立場に立つとき、自分自身とその方が奉仕する人々の人生を豊かにすることが出来るようになります。

救ってあげるというのは、救われる必要のない自分が、救われる必要のある人に向かう働きです。
しかし実際には救われなければならないのは、この自分自身です。
そうであるのに順番を間違えて、まず救ってあげないといけない自分自身を脇にどけて、他人様を救おうとするのでしょうか?
それは他人を救うことに没頭していれば、救われなければならない自分自身を見ないで済むからです。

このような生き方をしている人は自分の欠点を見ないために途方もなく忙しい環境に自分を置くことがあります。
「あぁ、忙しい!あぁ、忙しい!」と言っていれば自分の欠点を見ないで済みますから、忙しくて大変なのにもかかわらずニコニコしているという場合はこんな理由が潜んでいることもあります。

そもそも対等な人間関係を構築していれば、相手にではなく自分自身に目が行かざるを得ません。
それは「人が恐い」という性格上の欠点です。

統合作業のやり方

「私は高いところから人々を哀れんでいないだろうか?」
「私は救ってあげれそうな人を選ぶことによって、自分の欠点を見ないようにしていることはないだろうか?」

これらを少なくとも一ヶ月間黙想し、教えられたことをノートに書き込みます。
半年間の残りの期間は毎日チェックするだけでも構いません。

下記の記事は人を救ってあげようとすることが人間関係の悪くなる真の原因であることを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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問題行動10

「私たちの子ども時代は悪夢のようであり、生き延びる術(すべ)として自分の感情を心の奥底に閉じ込めた。大人になった今は感情を否認することを嗜癖として使う」

自分の本音を心の奥底に閉じ込めるというのは、ある面では間違ったことではありません。
たとえば津波や地震の第一波に恐れわたとき嘆き悲しんでいては、すぐにやってくるかもしれない第二波に対処することが不可能になってしまいます。
ですから、そのような状況では本音や感情を押し込めて、ロボットのように対応することが必要な場合もあります。

問題はそのように対処する必要がないにもかかわらず、依然として感情を否認している場合です。
これが顕著なのがアダルトチルドレンです。
悲惨な子ども時代を生き延びるには感情を感じないように本音を押し込めるほかはありませんでした。

しかし成人した今となっては感情を感じないようにする必要が全然ないどころか、そのような生き方をしていては人生が行き詰まってしまうにもかかわらず、依然として感情を否認するという子ども時代のサバイバル術を使っているのです。

もちろんサバイバル術を使っているとの自覚を持っていないアダルトチルドレンも多いです。
そして周囲の人々と自分を比較して「何かちがう。何かおかしい」と薄々感じるのですが、その原因が分かりません。
親しい人に「そこで怒らないなんて、おかしいやろ!」と言われても「えっ、そうなん?」と間の抜けた反応しか出来ません。

感情の否認の問題はアダルトチルドレンの最大の問題と言えるかもしれません。
感情を感じないと、取るべき態度が取れず、相手の言いなりになってしまう原因になります。
また、自分では気を使っているつもりなのに、人からは「あなたは無神経だ」と言われたりします。
この原因は自分の感情を気づけない人が、他人の感情に気づけるはずはないというところにあります。

統合作業のやり方

「私は感情を感じることを恐れない。私は心の奥底で『人が恐い』と恐れている自分自身の姿をありのままに見る」

祈りと黙想の時間に祈ります。

「今日一日の対応の中で、あまりにもビジネスライクなところはなかっただろうか?私は人々に対して人格的に対応しただろうか?それとも機械に対するように対応しただろうか?」

一ヶ月間、チェックシートに基づいて教えられたことをノートに書き込みます。
半年間、チェックします。

下記の記事は感情の否認が顔の表情にも反映されることを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

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問題行動11

「私たちは自分を厳しく裁き、自己を低く評価することを嗜癖として使う」

自分を病的に厳しくさばくという方はアダルトチルドレンに多いのではないでしょうか?
ありのパパもその一人です。

普段は克服しているつもりになっているのですが、何か小さな失敗を一つやらかすと途端に頭の中から「ほら、やっぱり失敗した。お前は生きていてはいけないダメな奴だ」という声が聞こえてきます。

そのようなときは立ち止まり、自分自身に向かって「そうではない。失敗したと言うが、うまくいっていることのほうが圧倒的に多いではないか。全体として自分の人生はうまくいっていると言うことが出来る!」と説得してあげるのです。

これが自分が自分自身の親になるということです(親替え)。
アダルトチルドレンの子ども時代は養育者に励まされたり、褒められたりするどころか、養育者は毒親であることのほうが多かったのです。

しかし今は自分が自分自身の親なのです。
親のせいにしている場合ではありません。
親を責める時間があったら、自分自身を慰め、励ましを与えることです。

「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(旧約聖書:イザヤ書43章4節)

統合作業のやり方

「周りも自分も『あなたはダメだ』というのですが、神が『わたしの目には、あなたは高価で尊い』と言われます。私はその神の言葉を真実とします」

このように毎日の祈りと黙想の時間に祈ります。

「今日一日の出来事の中で、自分に厳しすぎることはなかったか?」
「今日一日、自分は自分自身の愛ある親として振る舞うことができたか?」

これを半年間、チェックします。
そして少なくとも一ヶ月間は教えられたことをノートに書き込みます。

下記の記事は低い自己評価を嗜癖として使っている人は途方もない目標設定をしがちであることを解説しています。

低い自己評価を嗜癖として使っている人は途方もない目標設定をする!
「私は自己評価(セルフイメージ)が低い」という方はおられませんか? この記事は低い自己表を嗜癖として使うのがア…
        

問題行動12

「私たちは人に依存することを嗜癖として使う。子ども時代に経験した見捨てられ不安に再び直面しないためなら、私たちはどんなことでもやってのける」

これは「見捨てられ不安」と呼ばれるものです。
問題リスト4の「見捨てられ欲求」とは違います。
見捨てられ欲求とは、わざわざ自分からダメ男・ダメ女を見つけ出してきて、その挙句にトラブルを起こされてどうにもこうにもならなくなります。
その上で自分自身に向かって「やっぱり捨てられた」とか「やっぱりうまく行かなかった」と言うのが見捨てられ欲求です。
見捨てられ欲求に正常な見捨てられ欲求はありません。
みな病的です。

これに対して見捨てられ不安は誰でもが持っているものです。
心が健康な人が持っている見捨てられ不安は健康的です。
これがないと人間関係のトラブルに見舞われることになりますから。

しかし、これも度を越すと病的な見捨てられ不安になります。
そしてこの病的な見捨てられ不安を持っているのがアダルトチルドレンということになります。

「言うことを聞かないと捨てられるんじゃないか」という恐れが、相手の言いなり、相手に依存的になる原因です。
「捨てられても構わない」とはアダルトチルドレンは中々思うことが出来ません。

それは養育者に「私はあなたの味方だよ」と言ってもらった記憶がなく、孤軍奮闘のまま子ども時代を生きたからです。
そして言ってもらった記憶がないので、大人になっても「私はあなたの味方だよ」と自分自身に言うことが出来ません。
これはやってもらったことのないものは、やることができないということです。
ですからアダルトチルドレンは、心が健康な人の振る舞いを参考にしたり、本を読んで学ぶことによって、自分が自分自身に向かって「私はあなたの味方だよ」と言ってあげることを習得する必要があります。

これを親替え(おやがえ)と言います。
自分が自分自身の親であれば、少なくても強力な味方が一人はいるということになり、相手に対して病的に弱気に出ることはなくなります。

統合作業のやり方

「今日一日の出来事の中で、病的な見捨てられ不安が発動したことはなかったか?」
「今日一日、私は誰かに限度を超えて依存的な振る舞いをしなかったか?」

これを黙想し、教えられたことをノートに書き込みます。

下記の記事は見捨てられ不安があると他人の言いなりになることを明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

アダルトチルドレンは愛されてない事実に直面するのを恐れて依存する
自分の中にある見捨てられ不安を何とかしたいと思っている方はおられませんか? この記事は見捨てられ不安がどこから…
        

問題行動13

「私たちは十分に考慮して適切に行動することをせず、闇雲(やみくも)に脊髄(せきずい)反射的に反応してしまうことを嗜癖として使う」

初動が速い人と言えばアダルトチルドレンです。
しかし気づくと後からきた人に追い越されてしまったり、行き詰まって投げ出したりするはめに陥っています。

理由は物事を始めるときに考えないからです。
良いと思ったら飛びついてしまいます。
そして後から後悔するという寸法です。

しかし都合の良いことに私たちの記憶に残っているのは初動の速さだけです。
「俺はな、人が気がついてないときに気がつくことが出来るんや」
「私はね、見えるのよ。何がうまくいくか直感的に分かるのよ」

この当然の結果として、アダルトチルドレン特徴に新たな一点が加わります。
「私たちは物事を最後までやり通すことが困難である」

物事を最後までやり通したいなら、脊髄反射のように反応する行動パターンから、よく考えてから実行するパターンへと行動の変容を図ることです。

ありのパパはかつては考えなしに買い物をしていましたが、新たな行動パターンを採用することによって無駄なものを買うという買い物グセを克服することが出来ました。

それは「一つ新しい物を買ったら、古いものを一つ捨てる」という原則です。
それで新しい物を買いたいと身体がウズウズしたときは、自分自身に向かって「今度は何を捨てる?」と聴きます。
そうすると買い物への渇望が失せていきます。

今では「『無駄遣い』って英語ですか?」というぐらい無駄遣いに無縁になりました。

統合作業のやり方

「今日一日の出来事の中で、私が『反応』したことはなかったか?」
「私はどんなことに『反応』しているか?そして予防策にはどんなことが考えられるか?」

これらを一日の終わりに、また感情が動いたり、なくなったと感じた時に行います。

下記の記事は闇雲な脊髄反射的な生き方をしていると人生が行き詰まる原因を明らかにし、そこから回復していく方法を解説しています。

闇雲に脊髄反射的に反応しないで、十分に考慮して適切に行動する!
闇雲・脊髄反射・反応する生き方を続けていると人生は必ず行き詰まります。 この記事では私たちが脊髄反射的な反応を…
        

問題行動14

「依存症は家族を巻き込む病気である。私たちは「擬似依存症者」となり、依存症の特徴である強迫観念と渇望現象を受け継いでいる」

この「依存症の特徴」とは強迫観念と渇望現象の二つが問題となる病気であるということです。

強迫観念とは、やっちゃいけないと分かっているにもかかわらず、ついやってしまうことです。
渇望現象とは、いったんやり始めたら延々とブラックアウトするまでやり続けることです。

私たちがあらゆる面でのシラフを達成し、それを維持しようと思うなら、私たちの生活の中から渇望現象を呼び覚ますあらゆるものを手放す必要があります。

統合作業のやり方

「神さま、私が気づかないまま渇望現象に苦しめられていることがありましたら、私がそれに気づくことが出来るように導いてください」

このように祈りと黙想の時間に祈ります。

下記の記事はACが回復することはあっても治ることはない理由を解説しています。

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◎回復と平安と祝福を祈っています。

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  1. アルコール依存症者の相互支援グループであるアルコホーリクス・アノニマスの発行する書籍「アルコホーリクス・アノニマス」につけられた愛称 
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